■関西文化学術研究都市

1994年、大阪、京都、奈良の3府県にまたがる約1万5,000ヘクタールの広大な丘陵地 に、21世紀の新しい都市文化の創造を目指す関西文化学術研究都市の「まちび らき」が中心地区の精華・西木津地区「けいはんなプラザ」を中心に行われた。 関西文化学術研究都市は、周囲の豊かな自然環境を保全し、周辺の既成市街地 との調和を図るため12のクラスター(小都市群)に分散した開発方式を採用し ており、完成時には人口約38万人の文化首都となる。

この学研都市にはすでに(財)国際高等研究所、(財)地球環境産業技術研究 機構、奈良先端科学技術大学院大学など50を超える研究所のほか、同志社、大 阪電気通信、関西外国語などの大学、NTT、京セラ、松下電器産業などの民 間の情報系企業が進出。また会議場やホテルが完備した交流施設「けいはんな プラザ」も、国内外の学者らに利用されている。その中心部に位置する(財) 国際高等研究所では、世界各地から学者や研究者を集め、「人類の未来と幸福 のために何を研究するか」を基本理念として「課題探索型」の基礎研究に取り 組んでいる。

また、わが国における次世代の中核的インフラストラクチャーとなる広帯域総 合デジタル通信網(B‐ISDN)の利用研究の拠点として、新世代通信網実験協 議会(BBCC)が1992年に設立され、高度情報化社会の実現に向けて、94年本格 的な実験に着手した。現在では、会員企業はスタート時の2倍を上回る約200社 に増加した。

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は電気通信分野における基礎的独創的研 究を進めることを目的として1986年春に設立された。国内外の優秀な研究者を 集め、バーチャルリアリティ通信会議システム、音声翻訳システム、ニューラ ルネットワーク、人工生命、ミリ波半導体デバイスなど多くの先端的研究を行 っている。

学研都市では、文化面の充実にも力を入れており、すでに国立国会図書館関 西館の立地が決定するとともに、国立文化財総合機構(仮称)、国立総合芸術 センター(仮称)の構想実現に向けた誘致活動が展開されている。