■自治都市・堺
鎌倉幕府は足利尊氏によって滅ぼされ、尊氏は1338年、征夷大将軍に任ぜられ
て、室町幕府(京都)をつくった。京都では、禅の思想を背景に、東山文化と
いわれる金閣寺、銀閣寺などが建立されたが、足利氏内部の対立と天皇家が南
北朝に分かれていたこともあって、室町幕府は不安定だった。武士間の対立は
1467年に細川、山名の両大名による戦いが天下を二分し、10年にわたる応仁の
乱として、京都を焼き払う激しい戦いとなった。
こうした中で14世紀中ごろから、港湾都市として急速に発展したのは堺である。
15世紀末からは、中国、朝鮮、ヨーロッパとの交易を通して膨大な富を蓄積し、
武士の戦火を逃れるため、町人たちは濠を掘り、傭兵で武装した。町は自治特
権を持ち、戦国武将を利用、1560年代には自由都市として繁栄の絶頂期を迎え
た。当時日本を訪れたスペインの宣教師はベニス(ベネチィア)と比べるほど
で、その町人からは茶の湯を確立した千利休も生まれている。