■ 復興計画実現に向けて

 阪神・淡路大震災後、国は「復興対策基本法」と「被災市街地復興特別措置 法」を1995年2月26日に成立させ、被害を受けた自治体の土地区画整理などを 促進する枠組みをつくった。

これを受けて、兵庫県は向こう10年間に、福祉、文化、産業、防災、都市整備 の5部門、計約660事業に総額約12兆円の予算規模にのぼる阪神・淡路震災復興 計画(ひょうごフェニックス計画)をまとめた。地震・災害に強い街づくりと して、災害時に代替輸送ルートとなる防災道路や鉄道網を整備するとともに、 ガス、水道などの耐震性共同溝を敷設する。神戸市中央、灘両区の神戸東部新 都心には高齢社会に対応したモデル都市を整備し、社会的弱者向けの住宅と災 害医療、ボランティア推進の両センターを建設し、WHO(世界保健機関)神戸 センターを創設する。三木市などに6つの総合防災公園をつくるとともに、学 校への自家発電設備・備蓄倉庫の設置などを推し進める。

神戸市も、被災者の住宅確保、区画整理、再開発など17のシンボルプロジェク トを盛り込んだ独自の復興計画をつくった。岸壁の耐震性アップなど神戸港の 復興を前面に押し出しており、ポートアイランドにはアジア企業を誘致する中 国・アジア交流ゾーンなどをつくる。市街地は、三宮を中心とする都心、灘・ 東灘区の東部、兵庫・長田・須磨区の西部の3つに分けて特色ある街づくりを 目指し、都心地域は、公園、緑地を再整備した防災中枢拠点とし、震災メモリ アルとして災害科学博物館を建てる。

18人が死亡、約1,700人が負傷、約3,200世帯の家屋が全壊した大阪府域でも、 被害が大きかった大阪、豊中、池田、吹田、箕面、の各市で復旧作業が続いて いる。

大阪府はまた、壊滅状態になった神戸港の補完港として堺・泉北港を一大コン テナ基地にする計画で、泉大津市の助松ふ頭北側の新造成地に大型クレーン5 基を備えた停泊地をつくり、1996年6月オープン、5年後にはフル稼働させたい としている。